トップリード単独ライブ「THREE DECKER」@新宿SPACE107【メモ】

大枠というか外枠の物語は、サンドイッチ屋を経営していた父親を亡くして店をたたもうと遺品整理していた和賀氏と、駅前のパン屋からパンを届けに来た新妻氏が、父親の残した「スリーデッカーが見たかった」の意味を探すこと。前回前々回のように、「表現者」として投影されたキャラクターではなく、訴えてくるものがと直球ではなかったぶん、穏やかな印象ではあったけど、最終的に、人に求められることを求めていた新妻氏が、他人を厭がってひとりで生きようと決めていた和賀氏に、「友だち」だと認めてもらい、一緒に店をやろうと誘ってもらうという。またしても、なんて贅沢なあそびを…ずるいよ、にんにん(笑)。

  • プロローグ
    • オープニング映像
  • 「邪魔」
    • THREE DECKER:【名詞】三層式甲板船:ディズニーランドへ甲板船を探しに
  • 「デートの前に」
    • THREE DECKER:【名詞】三階建てバス:「和賀勇介初めてのレゴに挑戦!」
  • 「気まずい時間」
    • THREE DECKER:【名詞】三部作:「トイストーリーの3部作を見てみよう」
  • 「羊」
    • THREE DECKER:【名詞】三階建てのマンション:間取りを眺める
  • 「お見合い」
    • THREE DECKER:【名詞】三段式説教台:すりーでっかー?
  • 「スリですか?」
    • THREE DECKER:【固有名詞】三人のデッカーさん:3の呪縛
  • 「腹痛」
    • THREE DECKER:【固有名詞】路上バンドの名前
  • 「聞いて欲しいんだ」
    • エンドロール
  • エンディング
  • サンドイッチ、つくろ!で、3段重ねのサンドイッチ(=スリーデッカー)を作るふたりのOP映像。シンプルですごく好きだった。包丁を使っているのに手元から目を話す新妻氏を注意している和賀氏、音声がなくても分かるよう。「It's obstructive!」で、「邪魔」へ。くるくると展開するところも、音声も無機物のうごきも全部手作りなところも、役割が入れ換わるところも、最後も、ぜんぶがトップリードらしかった。1本目にふさわしいね。
  • ディスにーランドに行っていた映像は、yardでクロヤギちゃんが言って清和氏に怒られていたときのやつですね(笑)。
  • 「デートの前に」。もうイイ話!あのふたりがああして暮らしていることがほほえましくてたまらないよ!長尺で、ストーリーも厚く、割と後半に持ってくるようなコントの印象もありましたが、これを序盤に見せることに力を感じて嬉しくなりました。しかし新妻氏の女子力がナチュラルに高すぎてもう平伏の勢いです…整えタイムなぞ求めたことなくてすいません…。今回女装コントがなかっただけに特に厳しかった…。「連れこめよー!」で2日目に、江頭さんを体得したにんにん、「ちょうど2時50分じゃね?」と遊ぶ和賀氏(笑)。千秋楽ではもっと遊んでた。楽しかったなー。
  • レゴはハリーポッターの三階建てバスを作るのですが、レゴキットを前に途方に暮れる和賀氏なぞ、ときめきの映像でした。萌え〜。1時間かけて作りあげたバス、拍手をしておいて持ち上げた新妻氏が落っことし、気まずい時間に(笑)。落っことしたときにお客さんが「ああ〜!」と見事に悲鳴を上げていたw
  • 「気まずい時間」は、「お前のポンコツっぷりををひとつひとつ紐解いてやる」という和賀さんが、やさしいなあ〜と思って観ていました。「そういう努力をしろよ!」とかね。ソーシャルスキルを教えてくれているのだね。大人になって、ああいうこと言ってくれる人、なかなかいないじゃん(笑)。トップリードのコントには、ああいう社会性を欠落したまま生きてきちゃったような人(ほぼ新妻氏)がときどき登場するけど、いつも、それを見捨てない和賀氏が優しいのだ。怒りながらも。ありゃー、芸人に好かれるよ(笑)。
  • トイストーリーを眺めるふたりの愛らしさったらなかったです。まさか、和賀氏も泣いてるの!?って、あれは客席中が思ったでしょう…いやー、3回見て3回とも笑ったなあ、あの映像…。千秋楽のエンドロールで、トイストーリー3を熱くオススメする新妻氏、ちょっと展開をしゃべってしまって相方に怒られるwそういうところがにんにんだわ。
  • 「羊」、今回のコスプレ枠?(笑)丸い角の丁寧な作りにさすがだな〜と感心しました。このコント、新妻氏の忙しさもですが、それを裏打ちする和賀氏の動きがなにもかもすばらしかった…。
  • 「お見合い」も大好きでした。1日目のカーテンコールで「19歳のときに作った」と新妻氏が言っていて、なんとなくなのに、ものすごく納得。世にも奇妙な物語的なの、古いネタによく見えてます。和賀氏に日替わりギャグの課題が与えられているのも珍しく、2日目のは喫煙スペースに引きこもり長いこと考えていたんだとか。和「2日目の昼に、うしろシティが来るっていうから、阿諏訪に恥ずかしいこと見せらんないって思って」真剣に考えたんだそうな(笑)。でもうしろシティ見に来られなかったのよねー。千秋楽も別の意味で考えられてたし。和賀氏のああいう遊び心に溢れたクレバーな面を間の当たりにすると、もう惚れ直さずにはいられませんよ!初日の「卓球が!」の顔も好きだったんですけどね。
  • すりーでっかー?と路上バンドは、おなじみのお手伝いクロヤギ、やさしい雨、新宿カウボーイそれぞれ。新宿カウボーイ、今回はカットされることなく良かったね(笑)。このへんから、だんだんおかしくなるスリーデッカーの解釈(笑)。
  • 「スリですか?」は、単独ならでは、という感じなのかな。でもしれっと他に下ろしそう。あのコント、最初の音オチのところで、あんなにもウケるのは、そこにいたるまでこのライブがとてもとてもあたたかくお客さんを温めていたからだと思うの。「ここで2機使っちゃってるからな」は、あのコントのコントたるところを支える名言だと思う。
  • 「腹痛」、擬人化ふたつめ。前回の「ため息」もだけれど、結局みんな優しいのだ。
  • 「聞いて欲しいんだ」、大作でございました。和賀氏が女の子を演じているところが多くてちょっぴり新鮮。はあ、かわいいなあなんだかなあ。あの楽しそうなふたりが。

3公演見て思いましたが、遊びやアドリブも増えていき(本人たちも自分で言ってたし)、良い意味で力が抜けていたのだろうなと思う。台本通りに進めていくイメージが強かったけれど、そうでもないところも多かったし。始まる前のツイートで、新妻氏が「単独が始まる、そんな気がしないなあ」的なことを言っていて、去年までとは大違いじゃないですか。一皮むけたのか、余計なものが落ちたのか、何か獲得したのか*1、今後も楽しみでならないです。

*1:まあ、ご結婚もされたしね…。