九つの、物語/空色ヒッチハイカー

「ひかりをすくう」から橋本紡を立てつづけに

九つの、物語

九つの、物語

空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカー

「ひかり」に比べて、全体的に文章が現実離れしてるというかキラキラふわふわしていた。刹那的で不安定な青春時代、しかも真夏という舞台で、キラキラしないはずがないんだなあ。するすると読めるのですが、ずっと外側から眺めているような、もう自分には入り込めない世界でした。中高生で読んでいたら、もっと違う感想を持ったと思うんだけど。主人公たちが「自分は子どもだった」とふりかえる瞬間がすごくいとおしかった。成長ってそういうことだよね。この人の描く結末には、「それでも生きていく」という当たり前だけど結構難しい気づきがある。
「九つの」を先に読みましたが、どっちにも魚と聞くとサメやら金魚を思い浮かべる…というくだりがあったようななかったような(←確認してない)。世界は全然違うのだけど、ちょっとした共通点が多い2作でした。魅力的なお兄ちゃんとか。ラブホテルとか(それちがう)。