猫鳴り/沼田まほかる

先週の土曜は漫喫ではなく図書館へ。

猫鳴り

猫鳴り

どんな話か知らないまま読んだら猫でずっぱりな内容だったので猫カテゴリも。すごくいい小説でした。
いろいろ抱えてる人々が生活に入り込んできた猫を通して、何かを投影して自分を見つめるお話3本。最後の話、孤独な老人(第1章の夫婦の旦那さん)が、老いて死に向かっていく猫に自分を重ねざるを得ない描写がえんえんと続くのですが、それがもうひたすらに悲しくて、電車で読んでいたら泣きそうになってしまったので読めなかったよ…。このおじいちゃんは猫を子どものように可愛がってるわけでなく、甘えてくる猫をうっとおしがったり、病気のせいで臭いよだれを嫌がったりもするのですが、だからこそ猫の死に対してもがいてしまうおじいちゃんが切ないかった。老いと向き合うって本当に苦しいねえ。それだけにラストにかけての優しさが沁みました。
猫というのは人間の葛藤とかあまりきれいじゃない感情の表現によくマッチしますねー。私が今まで一緒に居た猫は、いなくなったり病院だったり、その瞬間を看取らせてもらうことはできませんでした。老後は、私がいろんなことを受け入れるのを待ってくれるような猫と暮らせたらいいな。