麦の海に沈む果実

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
この人の話(つってもまだ2冊目ですけど)ってすごく現実離れしているけどその離れっぷりが素直に受け入れられるというか、前も書いたけどキャラクタに対してすごく丁寧な描写をしているので、ファンタジーっぽいのが苦手な私ものめりこんじゃうです。主人公の女の子に対してすごく移入しやすい。あとすごく表現が繊細というかふわふわしてるというか、乙一とはまた違うふわふわ感。カキ氷の氷を連想するのは私だけだろうか…。
不安な童話もそうだったけど、ラスト近くでのタネあかしの勢いが本当にすごくて、ついていけなくて「あわわわ」ってなってしまいます。ただ今回はタネの部分が尻すぼみになっちゃった気がしないでもなかったです。曖昧に書かれないままの部分も多いし、それはそれでいいのかも知れないけど、やっぱり登場人物が魅力的に書かれているだけにもったいないなと思いました。黎二がすっごくかっこいい。恋に落ちそうになった。絶対狙って書いてるんだろうな。