ゆず AREANA TOUR 2011「2-NI- ×FUTARI」@神戸ワールド記念ホール

私にとってやっとの「2」ツアーとなりました。いろいろあって、やっとの。リボン以来、絶対行く気でいる神戸公演ですが、今回チケット取れて本当に良かったな。
震災がなかったら、こういうライブではなくて、ステージ上にいるふたりの表情もきっと違っていたのだろう。けれど、会場の空気はやっぱり真摯で誠実で、とても安心しました。席がステージ真っ正面のスタンドで、エネルギーがぶつかってくるようですごかったよ。内容も怒濤のようだったから、後半はもう抜け殻状態に・・・。この時期で、場所が神戸で、絶対泣かずにはいられないだろうと思ってたけど、それ以上に空っぽになっちゃったよ。


全編を通して、ゆずが、復興の街・神戸に、いかに希望を込めているかが伝わってきました。他公演と比べられないので分からないですが、彼らもこの地で希望と祈りを歌うことに、大きな意味を持たせたいのだなあと。それが力になると信じている姿勢が、優しくたくましくて、響いているのが分かります。それがすごいと思う。
北川さんが、震災のことや神戸のことや今のことを話すとき、とても力強くむしろ勢い余っているくらいに見えたのは、逆にホっとしました。客席へのアプローチとか、今までになく溢れる気持ちが押さえきれない状態なんだろうなと思った。昔の北川さんはよく、抱えている情動に声が負けてしまっているようなときがあって、私はその必死さとか、痛々しさみたいなものに、強く心打たれていたのだけれど、WWツアーくらいからそんな様子はすっかりなくなっていたから、ちょっと懐かしい気分になりました。でも今は、もっと大きなものに立ち向かってて、声も負けてなんかいなくて、本当に変化したんだなあと圧倒されてしまった。分かってたけど、こんな形で感じるなんてなあ。一方岩沢さんは、そのどっしり感たるや素晴らしかったです。何度か例えられていると思うけれど、彼らはまさに大樹のようでした。根を太く張るサブリーダーと、自在に枝をのばしまくるリーダー。

「彼方」は、岩沢さんの高音リードを受けながら北川さんが全力でパフォーマンスして歌っている図がとてもかっこよかったです。「From」と「彼方」の対比は、ゆずのあり様そのままだと思う。

アンコールで、このツアーでまだやっていない曲をやりたい、神戸にぴったりだと思うんだという北川さんの前置きで、「アゲイン2」を。もう、完全に抜け殻なわたし・・・。
今回の震災をきっかけに何度か思い出すのは、中越地震が起こって、母が倒れた2004年の秋のこと。当時はONEツアーの最中で、横浜公演に行った帰り、私は東京の家には寄らず、八王子駅のホームで母と電話で話し、そのまま大学のある街へ帰った。その3日後に母は倒れて、その電話が「前の状態」の母と話した最後の会話になった。それから1ヶ月、つらいとも悲しいとも苦しいとも言えないまま、なんだかよくわからない感じで過ごすなか、知り合いの方が私を気遣って、新潟公演のチケット(超良席)をプレゼントしてくれたので行ってきた。内容も知ってたし、楽しく観ていたのだけれど、「アゲイン2」のなかで北川さんが「がんばろー」って叫んだとき、糸が切れたようにいろんなものが溢れて、初めてライブで泣いた。そして少しすっきりした。
あれ以来、私は自分の生活に、薄い膜のようなものをかけて生きていることを自覚している。今は、毎日楽しく生活しているけれど、元に戻ったわけじゃない。それで良いのだとちゃんと思えている。だから大丈夫。