空中庭園/角田光代

空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

さわやかなタイトルとは裏腹に、読めば読むほど闇のような絶望が広がっていって、中盤は読むのがつらかったです。読了後は白っぽいもやくらいにはなったかな。お父さんが救いようのない馬鹿なのにも悲しくなったけど、その後のお母さんとそのお母さんの関係も、すごくさみしかった。これは「さみしい」なあと、誰にともなく同情しそうになる。私はよく文学のなかの家族に希望を見出すけれど、こんなにリアルな家族のさみしさを感じたのは初めてでした。