カムカムミニキーナ25周年記念公演「<〜ダイナリィ〜」@座・高円寺1

カムカムの舞台は「ダルマ」、そして一昨年の「クママーク」の、基本しげさんが出るものにしか観に行ってないのだけども、その二作品を観た感触として、私はこの劇団の表現を楽しいと思える人間じゃないのかもしんないナァと思ってたのです。脚本演出を務める松村氏の、言いたいことや見せたいことや、それに伴うエネルギーの凄さは十分すぎるほど伝わってくるし、それは作品の良さとして評価されるものだろうと思うんだけど、客席から見ていて何度も観たいと思ったり、何度も思い返して人に伝えたくなるような、私の「楽しさ」とはちがうのかもナァと思ってました。好きな人は好きなんだろうなーっていう。しげさん目当てに行くっていうのもなんか申し訳ないようなヘンな気持ちもあって、今回の主演公演は迷ってたんだけど機会に恵まれたので行ってきました。自分のなかで先入観を自覚してるとそれにとらわれたままになってしまうこともあるのでびくびくしつつ…
結果から言うと、とってもおもしろかったです。人間の愛欲と、演劇人の業を、お稲荷様信仰などなどのドロリとしたオカルトでくるんでこねてミルフィーユにしたやつ(レイヤー構造)を焼いてさらにぐちゃってつぶして差しだされた感じ。時空が幾重にも交錯しあっていて、いったりきたりするものがたりに直線的な「正しさ」なんかない。そもそも何かの事象は誰かの口を介して伝聞された時点でそれは事象そのものなんかじゃなく、誰かと誰かそれぞれの「真実」になる(ということを最近痛感している)のだから、ああして演劇人が作り上げたものが現実だろうが虚構だろうが、そこに意味なんかない、意味は観ていた側のなかにある…てな感じなのかな!と、すごくストンと受け止められました。始まってわりと早くに「あ、すごい集中して観てるわたし…!」と思えたのもうれしかったな…。あの、キレイな人が誰ひとり出てこないカムカム世界を楽しめたことは本当に良かったよ。

松村氏の言いたいことが、「演劇」と「演劇に生きるやつら」というもっとも彼らにとって地に足着いたものと直結していたのが本当に良かったと思う。振り切ったメタ視点で、あそこまでできるのもあれがいいように働くのも、25周年やってきた劇団だからこそでしょうし。しげさんは、ぐちゃぐちゃになってみんながみんな自分が自分でなくなるような世界のなかで、ずっと地に足をつけたままの、生々しい人の役だった。アフタートークで言ってた、その昔松村氏に「お前にはキツネが憑いてる」と言われたしげさんの、あの作品のなかでのあの人というのは、とても皮肉めいてもいるし、魅力的だと思う。

前評判でもカオスカオス言われてて、松村氏も「相当疲れると思います」って言ってて本当に緊張してたけど、これは「女中たち」の疲労度に比べればぜんぜん平気なレベルだよ…。あとお稲荷様ということで妲己ちゃんこと九尾の狐が出てきました。炮烙の刑に処してたよ!泥沼さんとか間違いなくギャグマンガ日和ですよね。