シャトナー・オブ・ワンダー♯1「ロボ・ロボ」@池袋サンシャイン劇場

作・演出 西田シャトナー
キャスト 矢崎 広 陳内 将 鈴木勝吾 川隅美慎 塩崎こうせい 根本正勝 村田 充

「楽園で遭難した、小さな存在たちの物語」
そこには、果実がたわわに実っていたが、彼らに必要な燃料電池はなかった。
そこには、色とりどりの花が咲きこぼれていたが、彼らの電子頭脳に美しさはわからなかった。
そこは、自由な世界だったが、彼らはユーザーなしで行動することはできない。
南の島に取り残された家電ロボット7体。
心を持たない彼らが希望を信じることはできるのか。
7人の俳優による、全編ロボットマイムだけの、究極の75分。
人間のいない世界の人間ドラマを、あなたは目撃する。

事前情報でもどういう作品なのか分からないし、シャトナさんの独特さがどうも苦手意識になっていたのもあって、正直あまり期待していなかったのもあったのですが…とても、とても良かったです。若々しくてみずみずしい、切ないお話。キャラクターの魅力と、ぎゅっと凝縮されたストーリーのバランスもちょうどよく、良い作品を観たなあと素直に思いました。どの役者さんもそれぞれのロボットとしての表現力がすばらしくて見応えありました。まさに戯曲で、舞台芸術だったかも。

「機能が単純」なレコーダー矢崎くんは、ここ最近では珍しいほどかわいらしい役でした。本人がインタビューとかで「レコーダーくん」て自分で言ってるのも納得。最初のデモンストレーションのシーンの声を聞いて、あーやっぱりこの役者さんの声が好きなんだと思い出したよ。抑え目の、機械的な、でも湿り気のあるハスキーな声、好きだな〜。シャトナーさんのこういう意欲的なプロジェクトのスタートに、矢崎くんが座長で、うれしいかぎりですよ。

アナライザーが全部を知っていながら、人間を分析したうえで、「記録する」レコーダーに未来を託したことが切なくて苦しい。あったことを残し、伝えることができる役割は、絶望のなかの希望の光なんだね。