グレイスフルプロデュース 『亜雌異人愚なグレイス』@AiiA Theater Tokyo

脚本・演出:津田健次郎
出演:津田健次郎永嶋柊吾 別紙慶一 太田基裕 進藤 学/大山真志 三津谷 亮 染谷俊之 味方良介 田代哲哉/藤岡正明

脚本・演出は初演から出演しているグレイス役の津田健次郎氏が担当。「マグダラなマリア」のキャラクター、世界観をベースにしたオリジナル作品が上演される。なお、本作品は「マグダラなマリア」の原作を管理する天然ロボット及び、原作者の湯澤幸一郎氏も賛同の上行われるもの。
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「マリア・マグダレーナ来日公演『マグダラなマリア』〜郵便配達は二度か三度くらいベルを鳴らす〜」は18日に中止を発表。その際の理由は原作・脚本・演出・音楽、そしてマリア・マグダレーナ役として出演を予定していた湯澤幸一郎氏の、公演には関わりのない個人的な事情が原因と発表されていた。

20日木曜と土曜日昼の2回行ってきました。
中止になった理由やら細かいところはよく分からないしあんまり知りたくもなさそうな印象だし、とにかくこちらは「代替」として素晴らしい舞台でした。こんなことになってしまって、それに蓋をするでもなくあえて取り沙汰すでもなく、でもどこか諫めるように、津田さんだからこそまっすぐに作って見せてくれました。ありがとうございますそしてお疲れ様でした。アマンダちゃんの「いってらっしゃい」って言わせたら、「おかえりなさい」も言わせなきゃいけないのよってくだりが思い出してもじんじんします。メインテーマにも当然胸打たれた…生きていくことは意志があるだけで答えなんか無いんだよねえ。

ミュージカルに特別思い入れがあるわけではないんだけど、私は役者さんが歌い出すときに下半身からせり上がってくるようなぞくぞくを感じることが多々あって、それはやっぱり舞台じゃなきゃ体感できないことだろうし、お金を払ってわざわざ足を運んで、ある程度のマナーを求められた上で受け止める生の舞台表現には、それ相応の魅力とそれを裏打ちする誠意があってほしい。それがグレイスさんたちが言ってた「こころ」なんじゃないかな。対価として私はそれを求めてるんだなあって改めて思いました。あとやっぱり舞台上にいる人たちが楽しそうに仕事してるものにお金を払いたいなあって思ったです。できれば。

一度は見てみたいなあと思っていたマグダラシリーズに大山くんが出るということでとても楽しみにしていたのは確かだし、本来ならどんな作品が出来るはずだったんだろうなあ。生まれるかもしれなかったものが誰の目にも触れずに終わってしまうこともあるんだもの。エンターテイメントは何があるかわからないよ。京都でミドリカワさんも「エンタメって悲劇よね」って言ってたし(多分意味ちがう)。役者くんたちにとって良い経験に昇華されたらこれ以上何も言うことはないよ。

ところで大山くんを観に行くと結構な確率で太田くんも観るんだけど、観るたびに飽きることなく「はー、もっくん、うつくしい…」って思う。毎度新鮮な気持ち。今回も美しかった…アンナさんかわいい。