「英雄のうた」@青山円形劇場

脚本・演出:毛利亘宏
出演:大山真志・林剛史・小林且弥鎌苅健太

るひまの舞台がきっかけで知った大山くんの、るひまによる主演舞台。たった4人の、4日間だけの、円形劇場という小さくて特殊な空間での本当に贅沢で素晴らしい作品でした。事前の情報から思い描いてたのとは違って、*1、意外とこじんまりとした切な優しいお話だったのも良かった。ナポレオンを通して「愛される」ということがテーマになっているのだと思うのだけど、いろんな形の「作品愛」を感じた舞台でした。
大山くんのコミカルで滑稽なナポレオンが、本来は年老いた自分を認めたくないがための虚像の姿で、それが明らかになるときの空間全体に広がった切なさに、それまでの笑いと相まってものすごく胸を打たれました。何より大山くんの表情の変化が本当に素晴らしかった…。演出もさることながら、「愛されてた」ナポレオンを見せるのに十分すぎる説得力があった大山くんはとても魅力的でした。後半の「すっきりした!」って言うところがとても好きで。あとリプライズの「英雄のうた」では声が裏返っていたのに、最後は安定の大熱唱だったのにはマジで驚かされました。え?そこも全部演技なの…?
ときめきだったのは鎌苅くんの道化師で、まあ演技はもちろんのこと日替わりもアドリブもとにかく出来る子!!道化師の微笑みに何度目を奪われたことか…。細長いふたりの兄弟もとってもキュートだったし。

カーテンコール後に改めて出てきてからセットの机に着席し、そしておもむろに「プチアフタートーク」のコーナーがあったりと、まあそんなところまであざといほど良いつくり。そりゃーみんな好きになっちゃうよねえ。

比べるようなものではないことは分かってるけど、矢崎くんのマクベスは、自分を見てくれる(愛してくれる)人がいなければ存在できない役者の孤独と悲しみの面を、今回のナポレオンは見てくれる人がいて存在できる役者の強さと喜びを表現しているのかもなあと感じました。

*1:るひまではよくあることだけれども…