鈴木おさむ劇場第一回公演「美幸」-MIYUKI-@ウッディシアター中目黒

作・演出:鈴木おさむ
出演:山崎樹範鳥居みゆき

土曜日の昼の回へ。ひさびさのウッディシアター、100人規模の小屋をめいっぱい使った贅沢な二人芝居。いじめや悪意によって人格をとことん歪められた美幸が、同じ境遇だと感じた男性に代わって、その周囲の人物に復讐するはなし。美幸はその動機となる感情を愛だと言い、それを否定されて泣き崩れながら謝罪する。すがすがしいほど救いがなく、最後に彼女が書き記した、前向きであるはずの造語さえ切なかった。
他人の人生に自分の期待を乗せてしまいました、と謝りながら泣いていたのだけど、私にはどうして美幸がそんなにも責められて自分を恥じなければならないのか理解できなかった。その感情はやはり愛なのではないかと思う。そんな相手に出会えること自体が幸せなのだと思うのに、まるでそんな生き方を全否定されたようでつらくてたまらなかったよ。

ひさびさに大人向けなお芝居を観た…終了後はやっと終わったと胸やけを押さえながら会場を出ました。ここ最近選んで観てたもののかわいらしさったら。キャスティングもなにもかも、すごくあざとい…。えげつないほどのグロテスクで容赦ない描写も、鳥居嬢だからこそ作り物として眺めることができたし、あの狭いハコのなかで、あの脚本のなかでしか観られないであろうやましげもいっぱいで、悔しいほどに楽しませてもらいました。その抜け目のなさが、逆に胸やけを助長させもするのですが。