デンデラ/佐藤友哉

デンデラ (新潮文庫)

デンデラ (新潮文庫)

映画見たいなーと思っていて見逃し、DVDを待つ前に原作を読むことに。
70歳になるといわゆる「姥捨て」のしきたりでお山に捨てられたおばあちゃんたちが、村の反対側で生き延びてコミュニティを作っていて、そんなおばあちゃんたちのサバイバルゲームというかバトルロワイヤル。「ですます」文体から、もうドロドロ、グログロな、肉食な空気が溢れ出まくっていて、何度か「うう…」と休憩を取りました。熊、すごいよ。ばったばた死んでいくおばあちゃんたちも、すごいんだよ。疲れたけど、すごく面白かった。
70年間、閉鎖された村のなかで、善悪も、自分のことも何も考えてこなかったカユさんが、その70年間を取り戻すかのように、とにかく考えて考えて、感情をフルに使い、自分を見つけようとしていて、そのスピード感に圧倒された。何のために生きる(死ぬ)のかという命題に出したカユさんの答えには、正直同調してしまったよ。自分を持って生きていくなんて難しい。死ぬのは怖いけど、死んでしまう機会も欲しい。
解説がなかなか、奔放な感じで面白かったです。老婆たちの「老い」の要素は、読む側による性的対象への転換を排除するためなんだそう(つまり美少女ライトノベルにおける百合的な)。まさかそういう観点から解説されるとは。
映画もいろいろと評判面白いのでぜひ見たいです。