彼女の命日/新津きよみ

彼女の命日

彼女の命日

死んだ女性が自分の命日に、1日だけ他人の身体を借りて、自分を殺した犯人を解き明かすミステリー…かと思ったらそうではなく、家族との関係とか、わりと人生論が色濃く主張されてる部分が強かったです。働く女性へのメッセージになってるところもあるのかなあ…。基本的に、出てくる人たちに毒がなくて、みんな性善説に基づいてる感じなのが、物足りなさはあるけれど読後感は良かったかなあと思います。主人公も聡明で、責任感が強くて、決断のはやい、出来すぎな女性だし…。
「誰かが死んでしまっても、その穴を埋めるため残された人たちは無意識に努力する」とか、「それでも人は生きていく」という当たり前のことが、このタイミングだからなのかとても響くものがありました。自分がいなくたって、仕事も、家族も、遠くの誰かの人生もそれなりに回っていくんだよねえ。