「借りぐらしのアリエッティ」

立川にて。すごくキュートでさわやかな作品でした。わりと淡々と進んでいくのであっという間に終わってしまった感じはあるけれども、とても楽しめました。また観に行きたいなあ。アリエッティかわいかった。志田ちゃんの声優っぷりもすごく良かった。

内容に触れつつ感想。


アリエッティが初めて「借り」に行くところ、その前も含め「魔女の宅急便」の旅立ちのシーンを思い起こしました。どちらも一人娘で、思春期らしい自信に溢れている女の子。強気で無鉄砲なところもあるけど、家族思いで健気でとってもかわいかった。お父さんとアリエッティが「借り」をしているときはアリエッティとおんなじようにワクワクしたし、小人の目線だから、ことさら丁寧に描き込まれた画面も眼福でした。
アリエッティが翔に見つかったことは、タブーを犯すと同時に一人前になるための儀式を失敗したこと、女の子が他者の目線を意識するきっかけになったことが表されていて、彼女が成長していくうえで重要な事件になってる。だからあのベッドで泣くシーンは短いけれどすごく沁みたなあ。あと、翔がアリエッティに対して皮肉というかあえて残酷なこというくだり。自分の命を悲観して、あえて相手を傷つけてしまうところも、あの年ごろの男の子らしいかなあと思ったり。


ハルさんは小人のことを「どろぼう」と言い、確かにそうなんだけれども、人間だって自然や環境からたくさんのものを「借り」て生きているわけで…(翔の「絶滅」の話と合わせてもその隠喩は明らかだと思う)。だからって、ハルさんが悪人なわけではなく、自分より小さい生き物を指先で捕まえようとする人もいれば、かたや家を作る人もいて、異なる価値観に囲まれていて当たり前なので、というふうに思いました。しかし叔母さんのように、小人を慈しむ気持ちがあるのは…なんだろう、経済的な理由による心の余裕?(爆)。

ラストがちょっと物足りなかった、という感想を聞くのですが、個人的には大変満足でした。思春期のふたりにとって、短いながらかけがえのない出会いであり、でも成長の過程のひとつでしかないという、その刹那的な感じが良かったなあ。将来ひとりで生きていかなくてはならないはずだったアリエッティも、もしかしたらそうじゃなくなるかも!?というエンドロールも、夢があって素敵だった(笑)